「部長は気さくで話がしやすい人ですが、どうも調子がいいというか、私に言っていることと、同僚に言っていることが違うようなのです。明るい二枚舌という感じ。どのように付き合えばよいのでしょうか」
どのようにもなにも明るい部長なんでしょう? いいじゃないの、そんなの気にしないで。
珍しくない「朝令暮改」上司
あなたの悪口を陰で言っているわけ? 「君は仕事できるね。評判いいよ」とあなたに部長は言い、同僚には「あいつはダメだね。ちっとも仕事しない」と陰口をたたいているの?
あなたは明るい二枚舌と言っているから、陰口をたたいているわけじゃないんだ。それなら暗い二枚舌だからね。
かつて仕えた役員に「朝令暮改は世の常」と言ってはばからない人がいた。
彼は、私たちに朝は、「さあ、しっかりやろう」と号令をかけておきながら、夕方になると、誰からか別の意見を吹き込まれたらしく「あれはやるな。中止だ」と言い出す始末。困った人だった。
あなたの部長もそういう類の人なのかな? あなたと話すときは、あなたの意見に耳を傾け、Aという指示をする。あなたの同僚と話をすると、その人の意見に耳を傾け、Bという方針に変更する。
こういう人は珍しくない。結構いるよ。 そして案外、こういう自分の意見を持たない人が出世するんだ。サラリーマンというのは、妙に自分の意見を持っていると、出世しないものなんだ。
トップの意見がAなら「Aが最高」と言い、Bに変れば「Bが最高」と臆面もなく言うことができ、それを部下に指示できる人。こんな人が結構、トップに好かれて出世していくんだ。
誰よりも最後に進言せよ
あなたも部長のことを「明るい二枚舌」と言っているわけだから、どこかでしょうがないな、と思っているんじゃないの。だったら自然体で付き合えばいいんじゃないかな。
「はい、はい」と言っていれば、部長は満足するでしょう。
こういう上司の習性として、一番最後に言われた意見に従う人が多い。
あなたが「これはいいアイデアだ」と思っても真っ先に部長に進言してはならない。次に同僚が進言した意見にあなたの意見はかき消されてしまう。
ちょうどパソコンでデータを保存しようとしたら「上書きしますか?」と問われているのと同じだ。部長は、絶えず新しい意見に上書きされてしまうタイプ。
だから付き合い方としたら、一番最後で、一番良いタイミングを見計らって、あなたの意見を進言するのがいい。そうすると、部長はあなたの思いのままだね。グッ、ジョブ!(江上剛)