今年から20歳以上60歳未満なら誰でも加入できるようになった愛称「iDeCo(イデコ)」こと個人型確定拠出年金は、税制優遇を受けながら資産運用ができるのが最大のメリット。掛け金が全額、所得から控除され、運用益は非課税、受取時にも優遇措置がある。
ちなみにiDeCoの語源は、個人型確定拠出年金の英語表記「individual-type Defined Contribution pension plan」。
実質利回り30%の定期預金!?
「iDeCoならば定期預金でも実質利回りが30%になる」
何やら胡散臭いコンサルタントが登場する投資詐欺事件に出てきそうな数字だが、実はほんとのことなのだ。
iDeCoの掛け金は全額が所得控除される。拠出できる掛け金の上限は加入者が自営業者であるか、会社員であるか、専業主婦であるかによって異なる。たとえば勤務先に企業年金のない会社員であれば、1年間の掛け金の上限は27万6000円(月額2万3000円)。この金額が課税所得から差し引かれる。
課税所得が年間500万円の場合、課税所得は500万円-27万6000円=472万4000円に減る。税率は所得税20%、住民税10%で合計30%(復興特別所得税は考慮せず)なので、1年間の節税額は27万6000円×30%=8万2800円となる。
節税額を掛け金で割った実質利回りは、8万2800円÷27万6000円×100=30%。当然、税率が高い人(高収入の人)ほど実質利回りは高くなる。
元本確保か、リスク覚悟で高利回り狙いか
iDeCoは、毎月決まった額の掛け金を定期預金や投資信託などに積み立てて運用する。定期預金は元本確保でリスクゼロだが、利回りもほぼゼロ。一方、投資信託ではうまくいけば老後資金が増えることになるが、失敗すれば元本割れリスクもある。
しかし、掛け金が全額所得控除という節税効果により元本確保の定期預金の実質利回りが30%にもなるのならOKという人もいる。逆に、投資信託で30%の損失が出ても、実質的には損失にならないのだから、リスク覚悟で高利回りを狙おうという人もいる。
どちらが正解かは年金を受け取るまで断言できないのが悩ましいが、原則60歳まで掛け金を引き出せないこと、口座を作る金融機関によって手数料と品揃えが違ってくることには十分な注意が必要だ。(阿吽堂)