「私どもには責任はございません」
いや、僕は何も成年、未成年の確認はどうでもいい、未成年にも酒類をどんどん売れと主張しているわけではない。そうではなくて、かなりのコンビニがやっていることは、まさに「無責任」「責任逃れ」ではないかということである。
もし、未成年の飲酒にからんで何か問題が起きたとする。そんな時、コンビニはなんと答えるだろうか。多分――お客様に「20歳以上ですか」とお尋ねしたら「はい」とおっしゃいましたので、お酒をお売りしました。私どもには責任はございません。はい、責任はお客様にございます。
無責任、責任逃れを別の角度から言うと、「思考停止」である。僕のように一見して先は長くなさそうなジジイに対してまで「20歳以上ですか」である。頭の中は空っぽとしか思えない。
思考停止は店員だけではない。客もそうである。セブン‐イレブンの店頭にしばらく立って眺めていると、酒類を買った客は全くためらうことなく、「20歳以上ですか」に「はい」を押している。飼いならされた犬みたいである。
このような無責任、責任逃れ、そして思考停止は確実に日本の社会をむしばんでいくだろう。いや、すでに、かなりむしばんでいるはずである。(岩城元)