日本は一国で自活できないから 外国と仲よく協調するしかない(ライフネット生命・出口治明)

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考える力は母語が基礎になる

   世界の人々とコミュニケーションをとるには英語を学ぶしかありません。英語が事実上のスタンダードになっている事実は今さら変えようがありませんから。

   20年前、僕がロンドンに駐在していたとき、北欧の人はみんな英語がぺらぺらでした。それに比べて南欧のイタリアやスペインなどの人はそうでもなかった。それは北欧の人が勤勉で賢く、南欧の人が怠け者だからというのではなく、経済に占める交易の比率が北欧は4割と高く、対する南欧はそれほど高くないという事情があったからです。そういう意味でも、交易立国の日本人は英語を学ばなければならないのです。

   ただし、英語さえできればいいと考えるのは愚の骨頂です。なぜなら物事を考える力は、やはり母語が基礎になるからです。文化は母語。まずはしっかりした日本語を身につけることが最優先です。考える力が備わっていなければ、いくら英語ができても、国際人として諸外国の人々と対等にわたり合うことはできないでしょう。(出口治明)

出口治明
出口 治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険株式会社創業者。1948年三重県生まれ。京都大学卒業後、1972年に日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。2008年、ライフネット生命保険株式会社を開業。著書に『生命保険とのつき合い方』(岩波新書)、『働く君に伝えたい「お金」の教養--人生を変える5つの特別講義』など。
2018年1月から、立命館アジア太平洋大学学長、学校法人立命館副総長。
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