打ち上げで全行員に感謝の言葉を
M取締役は、支店長時代、毎期期末の打ち上げを店内の全行員を集めて行うのだそうです。その会を催す目的は、半期の労をねぎらうことにあるのですが、単に食べ物、飲み物を用意するだけでなく、毎回支店長が自らの言葉で全行員とコミュニケーションをとるのがならいで、そこにその会の素晴らしさがあるのだとOさんは力を込めます。
「削減の時代にまだ50人も行員がいた大店でした。支店長だったM取締役は、副支店長以下役職者はもちろん、渉外、融資担当者から窓口、後方事務担当の女子行員に至るまで、一人ひとりについて具体的な話を織り交ぜながら支店運営への貢献をねぎらい、皆に聞こえるように感謝の言葉をかけてくれるのです。これには誰もが感激します。なぜ人がついてくるのか、一緒に働いてみてよく分かりました」
支店長のM取締役から課長への昇格辞令を受け、異動を告げられたとき、Oさんは期末の打ち上げに込められた真意を次のような言葉で知らされたといいます。
「人間は誰しも、相手の自分への貢献よりも自分の努力のほうを高く見積もる傾向がある。相手に対する自分の努力度合いばかりを意識することなく、相手の自分に対する貢献度合いをしっかりと振り返りなさい。行員にも、お客様にも、です。言いかえれば、誰に対しても常に感謝の気持ちを忘れないということ。それが信頼されるリーダーになる近道ですよ、と」