名将と名支店長に共通の掌握術 部下の貢献をしっかり振り返る

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打ち上げで全行員に感謝の言葉を

   M取締役は、支店長時代、毎期期末の打ち上げを店内の全行員を集めて行うのだそうです。その会を催す目的は、半期の労をねぎらうことにあるのですが、単に食べ物、飲み物を用意するだけでなく、毎回支店長が自らの言葉で全行員とコミュニケーションをとるのがならいで、そこにその会の素晴らしさがあるのだとOさんは力を込めます。

「削減の時代にまだ50人も行員がいた大店でした。支店長だったM取締役は、副支店長以下役職者はもちろん、渉外、融資担当者から窓口、後方事務担当の女子行員に至るまで、一人ひとりについて具体的な話を織り交ぜながら支店運営への貢献をねぎらい、皆に聞こえるように感謝の言葉をかけてくれるのです。これには誰もが感激します。なぜ人がついてくるのか、一緒に働いてみてよく分かりました」

   支店長のM取締役から課長への昇格辞令を受け、異動を告げられたとき、Oさんは期末の打ち上げに込められた真意を次のような言葉で知らされたといいます。

「人間は誰しも、相手の自分への貢献よりも自分の努力のほうを高く見積もる傾向がある。相手に対する自分の努力度合いばかりを意識することなく、相手の自分に対する貢献度合いをしっかりと振り返りなさい。行員にも、お客様にも、です。言いかえれば、誰に対しても常に感謝の気持ちを忘れないということ。それが信頼されるリーダーになる近道ですよ、と」
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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