最も難解な料理選び「ふむふむ」
メニューを渡されると、アラカルトにせよコースにせよ、何種類もある横文字の羅列から、最も食べやすそうでボリューム感もちょうどいいものを、数十秒で選ばなければならない。あれこれ迷っていると、ディナーの相手にも失礼だし、ウェイターとのコミュニケーションも難易度が高くなる。あれこれ尋ねすぎるのも田舎者っぽくていけないが、全く口を聞かず、目を合わせないのも失礼であろう。
そこで考えたのが、「いちばん名前の難しそうなメニューについて質問し、ふむふむと納得した顔でうなずくのを1~2回やる」というスタイルである。
「この『三陸産の魚介のカルファタ包み、カルトッチョスタイル』というのは、どのようなお料理ですか?」これである。メニューの中で最も難解そうな料理なら、どんな内容か聞いてもおかしくないだろう。ウェイターの説明を「ふむふむ」といった調子で納得して聞き、それを注文する。
1回のディナーで何度もやると面倒臭がられる可能性があるので、1~2度にとどめる......と、自分なりに「高級レストランでもオドオドしない方法」を考えて実行しているが、本当はこんな小細工をせず、堂々と味わいたいといつも思う。(北条かや)