「課長になりたい」悩みは昔話 今や管理職は「感情」売る商売

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「ヒラに戻りたい」が現代

   48年前と比較して、今は管理職の仕事も昔と比べものにならないくらい多様化、複雑化しています。2015年に産業能率大学が実施した、上場企業の課長を対象にしたインターネット調査では、「ストレスの多い管理職の立場を離れて、ただのプレーヤーに戻りたい課長が増えている」という結果が出ています。

   私見ですが、この調査結果の要因を分析してみると、(1)メンタル不調の部下を抱えて対処がわからない、(2)職場がダイバーシティ(人材の多様化)状況になっていて、部下にいろいろな価値観の人がいてどのようにマネジメントしていいか苦慮している、(3)教えても分からない部下がいる場合、結局自分が後始末をやらなければいけないから、管理職になっても「煩わしい」ことだらけで大変――ということかなと思います。

   しかし、管理職の仕事の本質は「感情労働」です。つまり、感情を商品として「売る」仕事なのです。たとえイライラする仕事でも、理性的に対処できる能力が必要です。

   サーバント(奉仕者)リーダーシップの提唱者であるアメリカのロバート・グリーンリーフは、

   「リーダーは、まず相手に奉仕して、その後、相手を導くものである」

というリーダーシップ哲学を展開しています。

   これから管理職になるという人は、高い職業能力を有するだけではなく、様々な折に直面する「煩わしい仕事」もいとわず、「人に奉仕することが楽しい」と感じられるタイプがいいのかなと思っています。(佐藤隆)

佐藤隆(さとう・たかし)
現在、「総合心理教育研究所」主宰。グロービス経営大学院教授。カナダストレス研究所研究員。臨床心理学や精神保健学などを専攻。これまでに、東海大学短期大学部の学科長などを務め、学術活動だけでなく、多数の企業の管理職向け研修にも携わる。著書に『ストレスと上手につき合う法』『職場のメンタルヘルス実践ガイド』など多数。
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