同業のS氏と会食をしました。ビジネス上における最近の課題などを話すうちに、お互いの最大の共通テーマと思しき事業承継の難しさという話題で盛り上がりました。
S氏は数年前にあったというこんな話をしてくれました。
重要性高いが緊急性低い問題
「中堅企業R社のオーナートップからコンサルティング依頼を受け、2つのミッションを言い渡されました。ひとつは『業績進展に資すること』、今ひとつは『後継者問題を決着させること』。業績進展はある程度方法論が見えていたので、さほどプレッシャーはなかったものの、後継問題はハッキリ言って難題だと思いました。御子息はすでに20年近く大企業に勤務し、他にはお身内に後継候補がおらず、全くの白紙状態だったのですから」
S氏がやってみたのは、とにかく社長に後継問題の話題を投げかけ、その考えを尋ね続け最良の方法を見出そうとすることだったといいます。
「気がついたことがありました。後継問題のような重要性は高くても緊急性が低い問題は、重要性・緊急性共に高い業績進展のような課題には常に劣後します。これは仕方ない。ところが意識の中で後継問題が薄らいでしまうと、重要性が低く緊急性だけが高い問題よりも劣後に置くという誤った判断に陥りかねません。だからこの問題について質問し続けることで、社長の意識の中での優先順位を下げないように努めようと思いました」