出世と無縁の部署?それが何だ 花形部門さえ明日はお荷物かも(江上剛)

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「入った会社の事情が呑み込めてきたところ、どうやら自分は出世と無縁の部署にいるようです。少しさびしい気がするのですが」

   あなたはよほど先が読める人のようだね。その会社になぜ入社したのかしらないけど、それなりに成長性を感じたから入社したんでしょう?

  • かつての花形「テレビ」も往時の影なく
    かつての花形「テレビ」も往時の影なく
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きらびやかに見えたのか

   入社の動機となったのは、その会社の花形部門がきらびやかに見えたからかもしれない。

   例えば電機メーカーなら、昔ならテレビなどのAV部門が花形だった。その部署に配属してもらいたい、そこが出世の近道だ、なんて思った人が多かったかもしれない。

   しかし時代は移り、テレビなどのAV部門は、海外勢に追い上げられ、会社のお荷物部門になってしまった。

   次はインフラだ。鉄道や原子力発電所など公共事業に関わる分野が花形に変わっていく。

   しかしそれも長くは続かない。原発は、福島第一原発の事故によって国内ばかりが海外でも反原発の勢いが増している。新幹線などは中国勢の追い上げが厳しい。

   今、また見直されているのは、テレビよりもっと前にすたれたと思われていた掃除機や冷蔵庫などの家電部門だ。続々と新製品が登場し、やっぱり日本の電機メーカーの強みは家電だよね、なんて声も聞こえてくるほどだ。

   かくも左様に会社の部門というのは栄枯盛衰が激しい。今、華やかであっても明日は分からない。

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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