官邸主導で進められている「働き方改革」は、過労死にもつながりかねない長時間労働をなくそうとする取り組みだが、それについて報じた日本経済新聞記事を同社がツイッターで紹介したところ、言わずもがなのような一言が付されていて、猛反発が。
「長時間残業しないと勝てないのか」
現行の労働基準法では、36条に基づく労使協定、いわゆる「サブロク協定」を結べば、月45時間までの残業が認められていて、特別条項を付ければ残業時間の制限がなくなる。
今回まとめられた政府の規制案では、企業の残業時間の上限を月平均60時間、年間最大720時間とする。忙しい時期は月最大100時間までの残業を認めるが、他の月で調整し、年間720時間を超えないよう企業に義務付け、違反した企業には罰則を科す方針だ。
現在残業時間の規制がない運輸や建設などの職種にも、移行期間を与えた上で規制を適用する。
日本経済新聞は、この改革案について報じた自社の記事をツイッターで紹介(2017年1月28日)。そのツイートが藪から棒に、
「経営者からは競争力低下を心配する声が出ています」
と締めくくられていたから多くの人の怒りを買った。
日経のアカウントあてには、
「60時間以上も残業しないと競争力が維持できない様では、既に終わった会社だ」
「競合より残業をしないと勝てないと思ってる時点で無能な経営者のように思う」
「過労死ライン以上の残業を命じる企業、良い人材が集まらなくなってむしろ競争力がガタ落ちになると思うけどな」
などなど、「競争力低下」を案じる経営者への反発の声が相次いで寄せられる事態となった。
関連記事では確かに「懸念」が
実は、日経新聞の同日2017年1月28日付紙面には、新経済連盟という経済団体が働き方改革に対する意見書を公表した、という関連記事が掲載されていた。
その意見書では、「時間外労働の上限について『一律的な規制強化だけでは国際競争力が衰退する恐れがある』と指摘」されており、どうやらそれがツイッターにも抱き合わせにされ、読者の反発を招いたようだ。この団体にはネット企業なども加盟しており、「新サービスを開発する企業の現場では一律の時間規制としないことを要求」している。
さすがに働き方改革をめぐる状況を日経ツイのように丸めてしまうと、それはちょっと乱暴じゃないか。(MM)