国際化には人の行き来が必要 客観的に考える冷静さもって(ライフネット生命・出口治明)

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海外の友人を増やすには

   国際化というのは、つまるところ友人がたくさんできるかどうかです。友人を増やすためには人々の行き来が欠かせません。日本は自由な交易のおかげで繁栄してきた国ですから、僕たちは外国に出かけていかなければならないし、多くの外国人に日本へ来てもらわなくてはならない。そのためにはどうすればいいか、国を挙げて考えなければなりません。

   若者は大人の意識を映す鏡ですから、「内向き」なのは今の大人たちです。「世界はテロがいっぱい。そんな危険なところに行かなくてもいい」と大人が思っていれば、若者はその気持ちを忖度して「行ったらあかんのやろな」と二の足を踏みます。日本が国際化をするためにも、外国の友人を増やすためにも、若者はどんどん海外に出なければならないのに、社会はそういう動きを積極的に後押しする方向には必ずしも進んでいません。残念なことです。

   アメリカへの留学でいえば、ピークの1990年代末に5万人弱だった日本人留学生は現在、2万人を切るところまで減っています。いくら「日米同盟」が大切だといい、グローバルビジネス上のパートナーはアメリカだといっても、生身の人間どうしの交流が減っては相互の理解が深まるはずがありません。

   大人には、メディアが報じる事件・事故を感情的に受けとめるのではなく、さまざまな視点から物事を客観的に捉えるリテラシー(適切な理解・表現をする力)が求められます。大人には若者を内向きにしないよう行動する責任があると思います。(出口治明)

出口治明
出口 治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険株式会社創業者。1948年三重県生まれ。京都大学卒業後、1972年に日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。2008年、ライフネット生命保険株式会社を開業。著書に『生命保険とのつき合い方』(岩波新書)、『働く君に伝えたい「お金」の教養--人生を変える5つの特別講義』など。
2018年1月から、立命館アジア太平洋大学学長、学校法人立命館副総長。
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