弁護士回答=労使協定に「特別条項」設ければ違法でないことも
労働基準法では1日8時間、週に40時間を超える労働は原則として認められておらず、たとえ残業代を支払っていてもこの時間を超えて労働させることは違法になります。
もっとも、このルールには例外があります。
会社と労働者の協議で労使協定が結ばれれば、先ほどの上限を超えてもその協定の範囲内で残業させることが認められます。この協定は労働基準法36条に根拠があるものなので、通称「サブロク協定」と呼ばれています。
では、サブロク協定を締結してさえいれば労働者に何時間でも残業させてもよいのかというと、そうではありません。例えば、1か月で45時間、3か月で120時間、1年で360時間というように、対象期間ごとに上限が決められています。
それでは、なぜ月90時間もの残業などといった事象が身の回りで起きたり、ニュースで報じられたりするのでしょうか。厚労省の過労死基準においても月80時間以上という数字が出てくるのでしょうか。
実は、サブロク協定の中で「特別条項」を設けていれば、一定の期間について協定の上限時間を超えて残業をさせることができるのです。この特別条項の存在があることから、サブロク協定が長時間労働の温床になっているとの指摘がなされています。 厚生労働省も、長時間労働の歯止めとして十分機能していない、現在の規制のあり方について法改正を検討する必要があるとの認識を示しています。