「優秀」失うのは一瞬で足りる まず「怒り」抑えるのが大切(高城幸司)

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   社内で優秀な社員と思われるためには、かなりの時間と努力が必要となります。仕事が1つや2つうまくいっただけでは「当たり前」、または「偶然」と思われるだけです。周囲から「優秀」と認められるには、明らかに「優秀」だとわかるトラックレコードや経験、輝かしい成果を積み上げていかなくてはなりません。

  • 制御できない怒りは命取りになる
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一発でレッドカードの可能性も

   ところが、それほど苦労して得た「優秀」という看板が意外なほどあっさりと剥奪されてしまうのも、また事実です。

   何か失敗をしてしまったり、期待に応えられなかったりした時、「今回は残念だったけど、そうはいっても優秀な人だからね」と看板にきずがつかない場合もありますが、事によっては「○○さんのような優秀な人が、こんなイージーミスをするとは思っていなかった」「××さんは優秀だといわれているけど、やっぱり無理なこともあるんですね」と、一度の過失が失望につながることもあります。

   「悪い人ではないかもしれないけど、過大評価しすぎたのかもしれない」と、評価を下げられてしまう可能性もあるのです。

   周囲を失望させてしまうきっかけとしては、「任せた仕事を最後までやり切れなかった」とか「期待通りの成果をあげられなかった」など、いろいろ考えられますが、いずれにせよ「期待以下」のクオリティで対応してしまった場合に起きるものです。

   「少しだけ期待通り」または「少しだけ期待値以下」であればまだ救いがあるかもしれませんが、「かなり期待値以下」であれば、その1回でレッドカードが出てしまうこともあるでしょう。

感情的になると人間関係が台無しに

   レッドカードが出てしまう要因として押さえておいていただきたいのが「怒ること」です。

「それはないじゃないですか、許せません!」

と感情をむき出して怒ること。

   そもそも、怒らずにはいられないくらいに理不尽な話であるから、などの理由は関係ありません。怒ることで仕事上の人間関係などが台無しにしてしまうのです。筆者は感情的になるタイプではありませんが、それでも感情的に怒りたくなる場面に何回も遭遇したことがあります。例えば、

・(自分からすれば)理不尽な回答が返ってきた
・約束していたことを反故(ほご)にされた
・同じような失敗を繰り返えされた

のようなケースで感情を抑えられなくなりそうになったことがありました。

   ただそういう時は、怒っている人と温厚で冷静な人の論争はいつも温厚で冷静な人が勝つ、怒っている人は自分をコントロールできない人に見える......と自分に言い聞かせて、怒らないように努めたものです。

   知人の嶋津良智氏がビジネス書『怒らない技術』で大ベストセラーになったことを思い出しましたが、それだけ感情が高まって怒りたくなる状況では気持ちを抑えるのが大変なのです。怒りを爆発させるとレッドカードが出て、後戻りできないくらい自分にとってマイナスになることがあることを思い出し、どうしても怒りを制御できないのであれば、その場をいったん離れるべきでしょう。

   どんな仕事においても、相手を失望させるような、ノックアウト級の失敗を1度でもやらかしてしまうと、さすがに「評価基準」は剥奪されてしまいます。だからこそ、自分の持つ「評価基準」において、「周りを失望させてしまうような行為とはいったい何だろう」と常に考えながら、そこまで低いレベルには絶対に落ちないよう、自分を戒めていくことが大事です。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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