交ぜるにはこなれた文章力が必要
敬体・常体のいずれの場合でも気をつけたい注意点を挙げます。
(1)文体の統一
あえて、常体・敬体を混在させることがあります。このコラムでも、基本は敬体ですが、ところどころ常体が交じっています。
ただ、就活生がそれをエントリーシートで真似をするには、相当にこなれた文章力が必要です。どちらを選ぶにせよ、全体を統一したほうが書きやすいでしょう。
【例1】私の強みはコミュニケーション能力だ。というのも、友人からよくそのように指摘されるからです。今後もその強みを活かしていきたい。
【添削1A】私の強みはコミュニケーション能力だ。友人からもよくそのように指摘される。今後もその強みを活かしていきたい。
【添削1B】私の強みはコミュニケーション能力です。友人からもよくそのように指摘されます。今後もこの強みを活かしていきたいと思います。
(2)常体には敬語を混ぜない
常体に敬語を混ぜると、文体が統一されていない、となってしまいます。
【例2】貴社の理念に共感し、応募させていただいた。
【添削2】貴社の理念に共感したので、応募した。
(3)敬語表現が正しいかどうか
敬体を使う場合、敬語表現が正しいかどうか、ここが重要です。丁寧語か謙譲語か尊敬語か、過剰敬語になっていないかどうか、などをチェックしましょう。
【例3】先生がおっしゃられていました。
【添削3】先生がおっしゃっていました。
こういう敬語表現、社会人でも間違えやすいものです。まして普段あまり敬語表現を使わない学生がエントリーシートでわざわざ使うとどうでしょうか。結構、間違えてしまう、という可能性が高くなります。
そのリスクを考えれば、私は常体のほうがいいのでは、と考える次第です。(石渡嶺司)