その6「饒舌な車内放送」 【こんなものいらない!?】

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山手線で遅れのおわびとは

   ところで、いま僕はこの原稿を台湾の台北で書いているが、この地の地下鉄で感心させられたことがある。電車のドアに近いあたりに、つかまりやすい手すりが写真のようにたっぷりとあるのだ。つり革も、背の低い人のことを考えていて、数が多い。せめてこれくらいのことはしてから、「つり革や手すりにおつかまりください」と言ってほしい。

   車内放送にはもっとうるさいのがある。電車の遅れのおわびだ。細かい言い回しは忘れたが、東京のJR山手線で聞かされたのは、次のようなやつだった。

「××駅での安全確認のため、電車は現在4分遅れで運転しております。お急ぎのところ、ご迷惑をおかけして申し訳ございません」

   だいたい山手線というものは、電車と電車の間隔がわずか数分で都内をぐるぐると回っている。確かに、最初に電車の遅れに居合わせた人たちは、いくらかの迷惑をこうむっただろう。だけど、そのあとの人たちにとっては、電車が何分遅れていようと全く関係がない。数分おきに次から次と来てくれるのだから。それなのに、駅に着くたびにこんな放送が繰り返される。

   外国人に言わせると、日本の電車の中は非常に静かなんだそうだ。大声で騒いだりする人は、めったに見かけない。その静寂に乗じてか、車掌だけが独占的に饒舌(じょうぜつ)である。もちろん、停車駅を知らせるとか、必要な車内放送もあるだろう。でも、不必要なものも少なくない。取捨選択してほしいのである。

   あ、それから、駅ホームでの放送もそのうちに槍玉に挙げさせてもらおうと思っている。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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