サラリーマン社長には荷が重い?
これは組織風土変革の素晴らしい成功事例ですが、果たしてサラリーマン社長の大企業に同じことができるのか、というとやや疑わしい感じもしています。任期に限りのある社長が、歴史とともに積み重ねられてきた社内の様々な価値観を乗り越えて「当社社員はこう変わるべきだ」という新しい基軸を打ち出せるかというと、よほど図抜けたリーダーシップがない限り難しいかもしれません。
ましてや現在地域金融機関に突きつけられている事業性評価融資への「企業文化改革」は、この上なく保守的かつ官僚組織的な銀行の体質を考えれば、さらに困難を極めるように思えます。トップの力だけではその変革が難しいからこそ、私のような組織経験のある部外者にも協力要請の声がかかっているのだとも考えられます。
この2月から地銀巡りの全国行脚が再スタートします。N社のような具体的事例に思い巡らせ、自らの経験ノウハウの供与にとどまらず、参加者一人ひとりに訴えかけられるような熱のこもった講演を心掛け、彼らの意識改革に微力ながら貢献できたらと改めて思う次第です。(大関暁夫)