地域金融の「変革」待ったなし 難題解決へ知恵絞りお手伝い

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   最近、地方銀行など地域金融機関からの依頼を受け、全国で講演をする機会が急増しています。その大きな理由は、森信親長官に代わった金融庁が2016年以来、地域金融機関に対し打ち出した新たな指針にあります。

  • 仕事を変えるのも組織を変えるのもすべては人
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降って湧いた新指針に困惑

   指針は、今後人口減少などにより地域経済の収縮が予測される中、法人(企業)向け融資に関してこれまでの取り組み方針を大きく改めるよう促すものであり、具体的には、

   「決算書と保全(担保や保証)に頼った融資審査姿勢を改め、企業の将来性、成長性をしっかりと見極めた融資に転換せよ」

というものです。すなわち、担保偏重の現状を改め「事業性評価を重視した融資姿勢に転換せよ」と金融庁は明確に指導しています。

   その講師役を、と私にお声掛りがあるのは10年ちょっと前、私が銀行支店長として今の事業性評価融資とほぼ同義語であるリレーションシップ・バンキングを手がけた経験があるからのようです。何ともありがたいことです。私個人のビジネスマンとしての基礎を作ってもらった地域金融機関への恩返しの意味も込め、どのようにすれば地域経済を支える中小企業の戦略を描けるか、またその成長を手助けできるか、私なりのノウハウをお話しして回っているわけなのです。

   そのようにして始まった全国行脚の中で、各銀行に共通して気がつくことがあります。一言でいえば困惑。これまでの財務と保全重視から事業性評価へと融資姿勢を転換するのは、自分たちの将来のためとは理解しつつも、実際はいきなり当局から投げつけられた難題であり、どこも相当に参っています。講演の企画窓口である本社幹部行員ですら、「簡単に長年の企業文化を変えられるとは思えません。我々は今何をしたらいいのか本当に困っています」と嘆いているような状況なのです。

   銀行の根幹を成す融資業務について、「行員一人ひとりがその取り組みの基本姿勢を見直しなさい」と言うに等しいのですから、対応に窮する大変な課題を与えられたと受け止めるのも無理はありません。組織が大きくなるほど、あるいは組織に官僚的な管理体制が根付くほど、その変革は難しさを増し、膨大な時間と労力がかかるだろうことは自明の理だからです。

   しかしやらないわけにはいきません。その組織変革がスムーズに成功するためのポイントは果たしてどこにあるのか、指南役の立場からも知恵を絞らざるを得ないところです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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