生命保険最大手の日本生命保険は、介護や育児中の営業職員向けに1日の労働時間をフルタイムの半分(3時間半)にする新たな勤務形態を2017年4月に導入するという(朝日新聞2017年1月18日付)。
新制度は、介護が終わるか子どもが小学校生活に慣れる1年生の8月末まで利用でき、標準的なケースで、歩合制の部分を合わせてそれまでの報酬の85%程度を確保できるそうだ。
歓迎の一方、問題指摘も
日本生命の営業職員は5万人おり、そのうち数千人が介護や育児に取り組んでいるという。制度導入は、仕事を続けやすい環境を整え、優秀な人材をつなぎとめる狙いからだ。
このニュースに対し、ツイッターでは、
「3時間半勤務...わしもしたい...」
「1日3時間半(半分)勤務で給料は85%...ありがた~い会社」
「遅すぎるワークシェアリング。1990年代半ばに導入すれば非正規雇用ゼロでいけた」
「歩合入れれば給与85%確保? なら育児介護してる人は断然こっちでは。%は人によるだろうけど」
などと歓迎する声が上がった。一方では、
「募集実績によって資格と歩合給が支払われるのが生命保険会社の一般的な賃金制度なので、中身に非常に興味があります。しかし、労働時間半分で従前の成績を挙げるのはたいへん」
「日本生命、3時間半勤務を導入...って、通勤時間考えたら、休みにするか定時まで働くかのほうが、負担は少ないなぁ。3時間勤務のために往復2時間の通勤+1時間の出勤準備とか、すっごくあほらしい(笑)」
「勤務時間は半分なのに、報酬の85%程度になるのか。いろいろ反感を買いそうな新制度だな」
など、問題点を指摘する人も少なからずいた。
現実には厳しい介護・子育て
厚生労働省の「平成27年雇用動向調査」によると、「介護・看護」で離職した男性は0.7%、女性は1.8%。「出産・育児」により離職した男性は0.0%、女性は3.2%だという。
こちらもツイッターで実態を探ってみると、
「介護で家族はみんな仕事をやめたし、老衰が始まってからはいろんな病院に断られたし、とにかくこの十数年で痴呆、高齢化、介護、病院、とにかくこの国は問題が山積みだと想い知らされました。都内だからなのかもしれないけれど(汗)」
「子育てしながら、介護しながら、正社員で働く選択肢はもちろんあったけど、体力的に当時の周りの雰囲気に無理と思って仕事やめた。介護してた時につくづく思ったけどやっぱり無理。自分の負担を軽減してくれたのはお金のいる公的私的サービスと大きくなった子ども」
など「厳しい現実」を訴える声が容易に見つかった。
人手不足が叫ばれるなか、さまざまな事情を抱える人々でも働き続けられるような工夫、制度づくりが企業によって進められることを期待したい。(KM)