先日、浅草演芸ホールに落語を聞きに行ってきました。
私は東京上野出身の下町っ子。浅草の高校を出ており、落語の舞台は私の生まれ育った地域です。
街ごと一つのテーマパーク
浅草演芸ホールは、2800円の入場料を払うと午前11時30分から午後8時30分まで落語、漫才、マジック、曲芸などが見放題です(たまに昼夜入れ替え制のことあり)。まあ、開演から終演までずっと見る人はそんなにいないので、入れ替わり立ち替わりになりますが、月曜日の昼だというのに8割以上の入り。土日は立ち見が出るそうです。
客層はやっぱりじいさんばあさんが多数。でも、若いカップルもちょいちょい、います。土日は、若い人がもっと多いそうです。
そして、観光客もけっこう多い。さすがに外国人観光客は、落語を聞いても分からないでしょうから、姿がありませんが。
浅草の街は、屋根に鼠小僧のオブジェをのせた建物があったり、街頭に昭和のスタアの写真が飾ってあったりと、江戸から昭和にかけての日本の風情を味わえるテーマパークみたいになっています。街ごと一つのテーマパークで、そこに演芸場やら映画館やらコンサートホールやらがあって、懐かしの出し物を楽しむことができる。
外国人にとっては、エキゾチックでフォトジェニックな街です(私も帰り道、外国人に「写真撮って!」と頼まれました)。ニンジャ教室のような、明らかに外国人をターゲットにした店もたくさんありますし、英語などの外国語の表示、英語に対応するお土産物屋も多数あります。実際、カンボジアのHISでも、浅草散策は東京ツアーのメインイベントとして位置づけられており、実に素晴らしいイベントです。
ただ、この街は、外国人観光客のためだけの街ではありません。昭和の時代を過ごしたじいさんばあさんには、自分の若かりし頃の暮らしがそのまま残っていて、若い頃に見た出し物が舞台にそのまま残っている、そんな、若き日にタイムスリップしたような感覚になれる街なのです。
これからの日本、若い人の人口は減っていきます。増えていくのはじいさんばあさんと、外国人観光客。そんな人たちを楽しませる街、浅草は、21世紀日本の大事な資産だなと感じました。(森山たつを)