「文末を揃える」とは?
ときどき文体と文末表現を混同される方がいます。私が「文末表現を適度に変えたほうがいい」と話すと、学生から、
「小学生の時、文末を揃えるように指導された。それをいまさら変えろ、と言われてもなかなか変えられない」
と、抗議のメッセージをいただいたことがあります。え? そうだっけ?
文体を揃える、という話はよく聞きます。と、いうか、作文教育の基本です。しかし、文末を揃える、というのは初めて聞きました。
昔から「地獄の沙汰も金次第」なんていいますが、現代は「喧嘩の沙汰はグーグル奉行」といいます(たぶん)。そこで、グーグルで検索をかけてみました。
「作文 文末 揃える」39300件
「作文 文体 揃える」77100件
「作文 文末 揃えない」40100件
「作文 文体 文末」55800件
「揃える」のは「文末」が39300件、「文体」が77100件。よって、「文体」が多数ということで、本法案は可決されました(意味不明)。
ま、グループディスカッション指導でも「多数決で判断しないように」とよくいいます。それに、グーグルのヒット件数だけでは納得感の薄い方が多数でしょうから、もう少し詳しく説明しましょう。
「作文 文体 揃える」のヒット項目のひとつに、文部科学省が制作した「海外子女教育、帰国・外国人児童生徒教育等に関するホームページ」の作文指導のページが出てきました。その「10‐6【よい文章を書くための15か条】」の中の「初級」の第5か条に「文末の文体を揃える」とあります。
また「中級」の第9か条には、「体言止めを使いすぎない」。さらに「上級」の第13か条。ここ、注目です。
「文末の表現を多彩にする」
ほらね(ドヤ顔)。というわけで、「文末を統一したほうがいい」という学生の指摘は、おそらくは、「文末の文体を統一したほうがいい」の記憶違いだと思われます。
以上のように、文章のリズムについては、文の長さ、文末表現、文体の3点を意識して書くと、ぐっと読みやすくなります。(石渡嶺司)