どこでもなんでも「測る」会社 【知っておいてもいい企業7】

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凍ったバナナで釘を打つ

   工業製品を輸出することで利益を出している株式会社ニッポン。では、工業製品の輸出先はどこでしょうか。

   アメリカかもしれませんし、アジア、ヨーロッパかもしれません。南米のジャングル地帯で使われることもあれば、砂嵐が吹き荒ぶ砂漠地帯かもしれません。どんな環境でも使用に耐えられるかどうかを測定する、それが環境測定器です。

   この環境測定器で世界トップシェアを誇るのが、エスペック(大阪市北区)。世界シェア30%、日本国内では60%のシェアを誇り、2014年には経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」に選定されました。

   同社は東京証券取引所1部上場企業で、従業員数は単独で821人、平均年収は711万円(43.4歳)という超優良企業です。ところが学生からすれば、そんなことなど知る由もありません。

   そこで、というわけではありませんが、同社のインターンでは、凍ったバナナの釘打ち体験があります。小型の環境測定機器を使い、バナナを凍らせます。マイナス40度の世界を再現する測定機器は当然ながらバナナを凍らせ、釘を打てるほどにします。

   もとは中学生向けの企業見学会に導入し、好評だったため、同社の人事グループ・今城亨さんが2015年から大卒の採用活動でも実施。今年も、インターンで展開予定だそうです。凍ったバナナで釘を打ってみたい学生は参加してみてください。

   同社は、ワークライフバランスのサイトを立ち上げるほど、女性の働きやすい環境を整備することに熱心な企業でもあります。

   堀場製作所(京都市南区)は、本社が京都にあり、同志社大、立命館大、京都産業大などの大学生にやたらと人気があります。それも、業界研究を進めて「あえて、グローバルニッチ狙い」「知名度の高さより安定感」などと話す学生が志望する模様。大企業・有名企業狙いの学生でも、人気の高さにつられて同社を志望するというパターンがよくあります。

   同社は、自動車エンジンの排ガス測定装置で世界シェア80%と、他社を圧倒するシェアを持ちます。東証1部上場企業でもあり、優良企業であることに違いありません。

   学生によっては、本社は大きすぎて無理だから、と子会社の堀場エステック(京都市南区)を狙う学生もいます。こちらは流体制御機器などに強みがあります。

   堀場製作所の社是は「おもしろおかしく」。海外売り上げ比率が約70%もあり、独特の文化を持つ企業でもあります。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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