昨年2016年から、ビジネス雑誌のレビューを書く仕事を引き受けている。『ダイヤモンド』とか『日経マネー』とかのたぐいだ。最近よく目にするのが、「サラリーマンでも老後資産1億円!」とか、「副業で1億円稼ぐ」などの特集。昨年は、年金制度改革(といっていいほどのものか議論はあるが)もあり、とにかく老後のお金が心配な読者が多いのだ。
サラリーマンも安泰じゃあないのに、フリーランスの私はなおさらだ。この機会に、老後の生活資金として「いくら必要か」計算してみた。すると、驚きの金額が!
下手すりゃ100歳まで生きそう
独身女、非正規、30歳。こうして自分の属性を並べてみると、なんだか悲壮感が漂う。どうでもいいが、読売新聞の(主に女性が集う)掲示板、「発言小町」で、「私の夫は医者ですが......」と接頭語つきで投稿する女性などからは、つくづくバカにされそうな属性である。つまり不安定ということだ。不安定な私が老後、安泰でいるためには、一体いくら必要なのか。
私は健康体なので、下手すりゃ100歳まで生きてしまうだろう。作家やライターは競争が激しいから、いつ無職になるかも分からない。それでも安心できる貯蓄額が知りたい。
まずは「住宅費」だ。今は毎月、家賃を払っているが、幸いにして田舎の実家があるので、老後は固定資産税さえ払い続ければ、終の棲家が確保できる。一軒家は維持費がかかるが、新たに都心のマンションを買うよりは安いだろう。
年間135万円あれば生活できるが
次に「生活費」。私はケチなので、年間135万円あれば生活できる。ただ、75歳くらいからは介護費用もかかるだろう。その他もろもろの支出を計算し、100歳まで生きるとした場合、なんと「1億円」(!)もかかることが分かった。つましく暮らしたとしても、1億円は必要なのだ。
計算の詳細は、ちょっとややこしいのと恥ずかしいので省くけれども、とにかく1億円である。もう絶望の1億円事件だ。銀行強盗をするつもりはないが、合法で1億円もらえるなら何でもします。いや、何でもしますなどと悠長なことを言っている暇はなく、とにかく今から、毎月30~40万円の貯金をしなくてはならないのだ。
昨年度は羽振りがよかったので、正直、そのくらいの貯蓄はできていた。が、今年度は前半にひどく落ち込んだので、毎月30万円も無理である。1億円計画は、早くも挫折しかけている。
一体、私の老後はどうなるのか。そもそも、1億円ものコストを払って生きる意味って何だろう。私にとって、生きることは働くことだ。仕事は好きだが、仕事をもらえなければ意味がない。つまり今、書いているこの執筆料も、1億円への小さな一歩なのだ。そう思うと、なんだかやる気が湧いてきた。皆さんも一度、「絶望の老後試算」をやってみることをオススメします。(北条かや)