カンボジアサッカーに関する大きなニュースが2つ、相次いで発表されました。
「本田がクラブ経営、ホルンに続きカンボジアでも」(日刊スポーツ2016年12月26日)
「J3藤枝に『カンボジアのメッシ』ワタナカ加入」(同2017年1月13日)
2つのニュースに共通するのは
日本サッカー界の至宝、本田圭佑選手がカンボジアでクラブチーム経営に乗り出し、カンボジアサッカー界の至宝、チャン・ワタナカ選手がJ3の藤枝MYFCに加入したというのです。
カンボジアでサッカーは圧倒的ナンバーワンの人気スポーツです。プロサッカーリーグも人気が出てきていますし、ワールドカップ予選などの国際試合では、スタジアムに5万人以上の人が集まります。
この日本とカンボジアをつなぐ2つのニュースには、面白い共通点があります。
「カンボジアに夢を。本田圭佑プロデュースのサッカースクールが海外で2か国目の開校!」(サッカーダイジェストWeb2016年11月18日)
「藤枝はワタナカのブランド力を活用し、サッカースクールを手掛けるクラブの関連会社『スクールパートナー』(東京・渋谷)によるカンボジアでのスクール展開を構想する」(日経新聞2017年1月11日付)
どちらもカンボジアでサッカースクールを展開しようとしているのです。
私は先日、別のところでもカンボジアで学校を作る女子の記事を書きましたが、なぜ日本人はカンボジアに学校をつくりたがるのでしょう?
それはカンボジアに来てみると分かります。
道路を逆走する車、間違いまくる注文とおつり......ちょっと生活するだけでこの国に多くの問題があることが分かります。そして、その原因を突き詰めていくと「教育」にぶち当たるのです。
40年前にポルポトが政権を握り大虐殺が行われ、教育者がほぼ全員殺されたカンボジア。平和が戻った今も、教師が不足しており、子供の教育、特に公教育が非常に貧弱です。プライベートスクール(私立学校)に行ける裕福な層はともかく、一般国民の教育レベルは非常に低く、それがこの国の発展を妨げているのです。
だから、日本人がカンボジアへ行き現地を見ると学校をつくりたくなるのです。
誤解していけないのは
ただ、誤解してはいけないのは、本当に足りないのは「学校」ではなく「先生」だということです。
年配の教育者が少なく、さらに若い人も教師の給料が非常に低いためなりたがらず、先生は慢性的に不足しています。
学校の校舎を造っても、先生がいないと教育はできません。その先生を雇うお金をどのようにして永続的に調達するか、そこが一番のポイントなのです。
本田選手もJ3藤枝も、サッカーを通じて、この国の教育レベルを上げようとしています。これは本当に素晴らしいことです。ぜひ、この国で先生になる人をたくさん育て、彼らに充分な給料が支払われる仕組みをつくっていただき、より多くのカンボジアの子供たちが幸せになれるような事業を運営してもらいたいと思っています。(森山たつを)