「ずるいCM」とライバル社がため息
次にCMを製作したのが大成建設です。2011年12月に「ボスポラス海峡トンネル」編(トルコ)、2013年12月に「スリランカ高速道路」編、2014年8月に「ベトナム・ノイバイ空港」編がそれぞれ制作・公開されました。キャッチコピーは、同社で1992年以来使用されている「地図に残る仕事。」。
3作品に共通しているのが、主人公となる技術者とその来歴。「遠い記憶→現在の仕事」という流れになっています。
ボスポラス海峡トンネル編では、女性の技術者が登場。学生時代はハイジャンプの選手でしたが、目標の高さを飛ぶことができませんでした。
「あの頃、飛べなかった1メートル65センチを、今、海底60メートルで思い出す」
というナレーションでボスポラス海峡トンネルの工事を紹介。
「どんな時間も、どんな彼方も、私は、今度こそ絶対に超えるんだ」
と締めくくるCMは、わずか30秒とは思えないほど深い名作となっています。
公開当時、このCMを見たあるライバル企業の採用担当者は、こう言ってため息をつきました。
「『地図に残る仕事。』というキャッチコピーもずるいけど、あのCMもずるいよね。うちだって大成さんと同じ汗まみれの仕事なのに......。あのCMで何人、内定者を取られるのか、考えただけで頭が痛い」
大成建設は大林組、鹿島建設、清水建設、竹中工務店の4社と合わせて「スーパーゼネコン5社」の一角とされています。売上高で言えば業界4位。5社の中では唯一の非同族企業であり、現場に与える権限も「他社より大きい」(ライバル社採用担当)。