「知っておいてもいい企業」シリーズ6回目は「新海誠」がテーマです。2016年8月に公開された「君の名は。」が大ヒットの新海誠監督、かつていくつかの企業のCMなどを手がけたことがあります。
CMデビューは地元有力紙
CMは信濃毎日新聞(2007年)、大成建設(2011年~2014年)、サントリー(2016年)の3社。このうちサントリーは「君の名は。」とのコラボレーション作品。
また、野村不動産グループのイベント企画用ショートフィルム・アニメーション作品「だれかのまなざし」(2013年)と、教育事業のZ会とのコラボレーション企画「クロスロード」(2014年)をつくっています。
今回はCMの2社(サントリーを除く)とショートフィルムの2社を紹介します。
新海誠監督が初めて企業CMを製作したのは2007年。信濃毎日新聞のものでした。
同紙は、長野県でトップシェアを誇る地方紙で、地元出身の新海監督(同県小海町生まれ)を起用した格好でした。CMのテーマは「大切なことを、伝える」。
「小海線から見える朝日、夕日が好きだった(中略)日が沈みかけて、水を張った田んぼに夕焼けが映っていた。東京だと高層ビルに空がそのまま映りこむ。長野県だと田んぼに映りこんでいた、と気づいた」
当時、地元テレビ局のインタビューにそう答えた新海監督。作品はわずか15秒(2パターンあり)ですが、その15秒に長野県の風景と、伝えたいというまっすぐな気持ちを詰め込んだ名作CMに仕上がっています。
余談ですが信濃毎日新聞、戦前の主筆桐生悠々による反軍的社説をはじめ、その反骨精神で知られています。60年安保闘争の報道では、政府寄りの論調に傾いた朝日・毎日・読売など主要紙7社に同調せず、北海道新聞とともに反権力の姿勢を貫きました。
そのため1960年代、左翼系のマスコミ志望者はこぞって信濃毎日新聞と北海道新聞を目指したそうです。私の父もこの2紙を志望し、信濃毎日新聞は最終選考で落ち、北海道新聞に入社したのでした。