人の評価は時代とともに変わる ゆえに基準の変化に敏感であれ(高城幸司)

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自動的に「過去の人」にも

   例えば、ある大手の飲食チェーンの店長の人事評価で重要な項目に組み込まれていたのが「在庫ロス率」でした。本社に発注した食材の在庫を余らせると、評価を大きく下げることになっていたのです。そうなると、無駄な在庫を出さないために、お客様からオーダーされたメニューであっても、在庫がなければ「すみません、品切れです」とお断りして、新たに発注しない。意図的に在庫を作らないことが正しい活動と認識されることになります。

   ところが、経営陣が変わると在庫ロスが重要な項目から外れて、代わりに「一人当たりの注文数」が評価基準に入りました。経営陣が業績をあげるため消費金額をあげることを重要な戦略に掲げたからです。

   この方針変更に対して、品切れを起こさないように(在庫ロスを増やすほどの過剰在庫は不要)本社への発注スタンスを変える店長と変えない店長がいたようです。その後、高い人事評価でエリア店長へと昇格していったのは経営陣の求める評価基準で高い成果をあげた人物でした。

   さて、今現在、自分が「優秀」と評価されていたとしても、どれだけその「評価基準」が長持ちするのか、また時代や会社の方針にマッチしているのかどうか、常に考えなくてはなりません。自分の「評価基準」が陳腐化していると思えば、惜しげもなく捨てたほうがいい。

   場合によっては、古き良き「評価基準」を持っていることで、自動的に「過去の人」と思われ、周りから忘れ去られてしまう可能性もあります。自分が今備えている「評価基準」を前面に打ち出し続けていると、逆に後戻りができなくなり、自分にとって厳しい状況になる危険性があることを、認識しておくべきです。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
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