初売りのしまむら系で気づいた 人ごとに違う「価値の割り算」

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   あけましておめでとうございます。

   2016年にスタートした「北条かやのマネー考現学」、みなさまのおかげで、無事に15回を数えました。本年も、お金と欲にまつわるアレコレを綴っていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

   さてさて、新年といえば「初売り」。私は久しぶりに洋服を買ったのだが、そこで面白いことに気づいたのである!

  • 欲望の足し算だけでなく「価値の割り算」も大事
    欲望の足し算だけでなく「価値の割り算」も大事
  • 欲望の足し算だけでなく「価値の割り算」も大事

洋服代は1000円でも惜しい

   美容整形にお金をかけるようになって以来、洋服には全く食指が動かなくなっていたが、初売りの熱気には負けた。「別に欲しいものなんてないけど、冷やかしてみるか」と、軽い気持ちで入ったアベイル(しまむらの系列アパレルショップ)。久しぶりに見てみると、まあ安いのなんのって。

   これだけ安いなら、古くなった手持ちの服を買い替えてもいいかな、と見ていると、同行していたヒモ氏が「それ、似合うんじゃない?」と、おだてる、おだてる。「そんなに褒めるなら、試着してみようか」

   店員でもないのに、やたら客を褒めるのが上手なヒモさんのおかげで(?)、トップスを3枚も購入してしまった。合計金額2740円也。なんと、1枚約900円だ。

   私もいちおう妙齢の女だから、着飾ることに関心はある。1着1000円なら、洋服を買ってもいいと思えるのだ。その値段なら、ちゃんと購買意欲がわくのだ。しかしながら、1000円以下で自分の気に入る洋服はそうそうないので、「自分は物欲がない」と思い込んでいたのだろう。不思議な話である。

   美容整形の手術をするときは、10万円くらいまでなら「こんなものだろう」と即決してしまうのに、洋服代は1000円でも惜しい。

他人の「見積もる価値」は理解できない

   美容整形の10万円と、服1枚の1000円が、私の中では同等の価値なのだ。割り算をしてみると、洋服の価値は、美容整形の100分の1ということになる。いかに自分が、美容に熱を上げていることか......。

   どんなモノやコトに価値を見出すかは人によって違うけれど、私にとって、キレイになるための美容医療は、服1枚買う行為の「100倍」の喜びをもたらすのだ。雑な計算をしながら、しみじみと実感してしまった。これを周りに理解してもらおうとは思わないが、「価値の割り算」、やってみるとなかなか面白い。

   他人のそれを知るのも、また興味深いことである。ある女性は、

「いくら年収が高い相手でも、ガンプラに1000万円とか、つぎ込んでしまう人はイヤ」

と言っていた。

   その女性にとって、ガンプラの価値は限りなくゼロ円に近いのだろう。理解できないのだ。好きなホストに、月収のほぼ全てを注ぎ込む女性もいる。彼女が1か月の間、自分のために使うお金は、コンビニ弁当中心の食費3万円と、わずかな被服費だけ。彼女は、好きなホストと過ごすコトの価値を、自分のために買うモノの何十倍にも高騰させているのだ。私が美容整形に多額のお金をつぎ込んで喜んでいるのと、なんだか似ている。

   今気がついたが、それぞれのモノ・コトに対して「見積もる価値のバランス」が明らかにおかしいと、後ろ指をさされるのだ。私が「美容整形狂い」とからかわれるのは、美容整形に対して、他人が見積もる何倍もの価値を見出しているからだろう。

   自己満足でやっているから別にいいけれど、新年早々、我がイタさを確認した次第である。(北条かや)

北条かや
北条かや(ほうじょう・かや)
1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。近著『インターネットで死ぬということ』ほか、『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』などがある。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
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