若者が結婚するにはお金が必要 どうすれば状況が変わるのか(ライフネット生命・出口治明)

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年齢フリーの社会を実現できれば

   では、20代が貧しい状況をどのように変えていけばいいのでしょうか。

   一つのポイントは同一労働同一賃金です。これは、年齢フリーの社会を実現するということでもあります。今の状況では、あまり働かないおじさん、おばさんが高い給与をもらっていて、若い人の給与が相対的に抑えられています。同一労働同一賃金となれば、年齢を問わず同じ仕事に対して同じ給与が払われるのですから、意欲と体力の勝負になります。若い世代にとっては歓迎すべき方向といえるでしょう。

   外国では若年層の高い失業率が問題になっていますが、それは社会が不安定で、落ち着いて仕事ができないからです。加えて、移民や難民の問題もあるでしょう。日本は状況が異なり、基本的に人手が不足しています。

   1947年から1949年生まれの団塊の世代は、1学年あたり200万人を優に超える。一方、現在の新卒者は毎年100万人ちょっとです。徐々に交替していくと見ても、労働力不足は歴然としています。このままいくと、2030年には約800万人もの労働力が不足すると見積もられています。僕も団塊世代の一人ですが、同級生を見渡すと、半分ぐらいはまだ働いているでしょうか。でもみんな「昔のようには働けない」と言いますし、いずれはリタイアしていくでしょうから、若い世代の雇用状況が悪くなるはずがありません。

   また、「飯、風呂、寝る」の長時間労働の世界から、「人・本・旅」で勉強して「アイデアが付加価値を生む」社会への変化が、若い世代の収入増を後押しするでしょう。今の情報化社会でセンスを競うのであれば、中高年よりも若い人のほうが絶対に有利です。終身雇用・年功序列社会の「黙って言われた通りに働く」社員が重用されなくなれば、若手の活躍する場が広がります。

   では、同一労働同一賃金は、どうすれば実現するのでしょうか。(出口治明)

出口治明
出口 治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険株式会社創業者。1948年三重県生まれ。京都大学卒業後、1972年に日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。2008年、ライフネット生命保険株式会社を開業。著書に『生命保険とのつき合い方』(岩波新書)、『働く君に伝えたい「お金」の教養--人生を変える5つの特別講義』など。
2018年1月から、立命館アジア太平洋大学学長、学校法人立命館副総長。
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