行動の積み重ねで進歩も
さて、僕だけど、有料のお通しはきっぱり断っている。店側がお通しをどうしても引っ込めないなら、さっと席を立って店を出ることにしている。でも、そのように、けんか寸前になるのも楽しくはない。そもそも、そんな店には入らなければいいのだ。
そこで、初めての店に入る時には、まず店頭で「お通しは有料かどうか」と尋ねる。有料なら、入らない。少し恥ずかしいけれど、こうしたことを積み重ねていけば、やがては不合理なお通しもなくなってくるのではないか。一人ひとりが声を上げなければならない。最近はメニューに「お通しがご不要の方はお申し付け下さい」と記す店も出てきた。進歩である。
お通しは有料かどうかを聞いて恥をかくこともある。
そば屋に入って、ざるそばと酒を注文したら、お通しが付いてきた。予想外だった。おかみさんに「これ、有料?」と尋ねた。「いえ、おカネはいりません」。気品のあるおかみさんだっただけに、よけいに恥ずかしかった。
でも、たまには恥をかいても、僕はそれが撲滅される日を夢見て、決してあきらめないつもりである。(岩城元)