米国内でも「自給自足できる」
そうしたなか、11月10日付の日本経済新聞は、「ブリヂストン6%減益 1~9月最終 鉱山機械向け不振」の見出し。その記事の中で16年12月期通期の業績は従来予想を据え置いた。
「江藤彰洋副社長は昨年(2015年)暖冬の影響で伸び悩んだ好採算の冬用タイヤについて『今年は例年並みに販売できる』と語り、10~12月期は需要が盛り返すとの見通しを示した」と伝えている。2016年は11月に東京で初雪を記録。寒気の到来も早く、冬用タイヤは例年以上の売上げが期待できるかもしれない、と考えている。
一方、日興Opening Belは11月22日付で、ブリヂストンについて、「トランプ次期大統領により米国で保護主義的な政策がとられても、米国内で自給自足できるグローバルタイヤメーカーとして、相対優位性が評価されよう」と指摘。ブリヂストンは「米国に15か所のタイヤ工場と18か所の多角化事業の工場を保有し、多数の米国籍従業員が就労している。これに加え、米ファイアストーンを買収したこともあり、日本ブランドではあるものの、在米日系企業としての存在感は強い」と述べている。
低迷する鉱山用タイヤも、トランプ氏の公約の一つに「大規模なインフラ投資」が含まれており、明るい兆しが見てとれる。
為替相場はドル高・円安に大きく振れており、現時点では日本経済にとって好ましい方向にある。たとえトランプ氏が掲げる「米国ファースト」が、2017年の日本を含む世界経済を揺さぶるとしても、米国経済が上向くのであれば、それ自体が株価にプラスに働くともいえる。
じつは、ブリヂストン株をみるうえで見逃せないのが中国問題だと考えている。中国に関し2016年12月4日付の日本経済新聞1面によると、「中国経済は落ち込みに歯止めがかかりつつある。7~9月期まで3四半期連続で実質成長率は年6.7%。景気の下支えは公共投資で1~10月の固定資産投資は前年同期比83%増になった」と伝えている。
中国の自動車販売は、米国をしのぎ世界1位。中国の動向は、良きにつけ悪しきにつけ、国際社会に、政治的・経済的に、大きな影響力を及ぼしている。企業が拡大再生産を続けていくためには、世界一の中国市場を抜きにしては考えられないはずだからだ。ブリヂストン株は12月16日に年初来高値を付けている。
とまれ。もしかしたら、「買い」のタイミングは過ぎているかもしれない。(石井治彦)
ブリヂストン
2016年12月20日現在 200株保有 平均取得単価 3867円24銭
年初来高値 2016/12/16/ 4463円00銭
年初来安値 2016/06/28/ 3089円00銭
直近終値 2016/12/20/ 4398円00銭