年末「基本3要素」を肝に銘ず 事業の成功、どれ1つ欠けても

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「やれること」の部分が不十分

   T社長のケースはまだ健全な部類ですが、世の中には、傍で見ていても「大丈夫かな」と思うほどおカネ目当てで新規事業に乗り出す企業が目につきます。芸能人のサイドビジネスが、たとえその道に詳しい人に任せようとも、長きにわたってうまくいくためしが少ないというのも、この手に類する話なのです。周囲がカネ目的で焚きつけるケースも多く、要注意です。

   T社長と話しているうちに、他にも「事業の基本3要素」の確認を怠ってお悩みにはまってしまった経営者が、今年私の周囲にいたことを思い出しました。

   Mさんは、昨年40代半ばで介護ビジネスに関連した企業内ベンチャーを立ち上げ、そのタイミングでセミナーを受講されたのでした。そのMさんが、今年の春先に突然青い顔をして訪ねて来られました。なんでも、事業が思ったようには立ち行かず、勤務先からも根本的な見直しを迫られているということでした。

   交流会にもお誘いして何度かお目にかかってはいたのですが、Mさんから事業の話を膝詰めで聞いたのはその時が初めてでした。聞けば、介護関連ビジネスはMさん自身が「やりたいこと」で、かつ社会的意義の高い「やるべきこと」でもあったのですが、どうやら「やれること」という部分で準備不足、勉強不足の感が否めないようでした。人脈作りも十分にはできていませんでした。

   Mさんからはその後、勤務先と相談して事業を前に進めるのを一旦ストップし、今一度準備を万全に固めつつ、期限を設けず仕切り直しをする、と連絡がありました。

「社内ベンチャーだったので助かりましたが、独力で立ち上げたビジネスだったらと思うとゾッとします。将来独立を果たすという目標に向けて、本当にいい勉強になりました」
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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