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有休消化、会社との折衝でトラブルも

   そのほか退職時に起こりやすいトラブルとして、有給休暇消化の問題や、そもそも会社が退職を認めてくれないなどの問題があります。

   有給休暇は労働基準法39条で認められた労働者の権利です。退職前に有給休暇を消化することは法律上問題のない行為となります。ただし、有給休暇日数やその他の内容は、雇用契約や就業規則などで定められるので、退職前によく確認しておく必要があります。というのも、退職時には自分の受け持った仕事の処理や後任者への引き継ぎの問題などが発生するので、この点をきちんと確認しないと思わぬトラブルが起こりかねないからです。

   また、会社側から退職を認めないと言われても、簡単に諦めてはいけないでしょう。労働者が自由な意思で会社を退職することが法律で認められているからです。ただし、退職する意思が誰から見てもはっきりとわかるように、書面やメールを証拠として残しておくべきです。

   場合によっては、例えば退職予定であることを会社に伝えず、ボーナスの支給を受けるということも考えられます。ただ、社員の退職は会社の今後の方針にも影響を与えるので、退職予定であることを会社に早めに伝えるのは会社にとって好ましいことでもあります。

   今回の相談者のケースでは、退職そのものに問題はないようです。さらに、説明した通り、減額の可能性はありますが、事情を考慮すると一切ボーナスが支払われないということにはならないと思われます。ご自身で会社と交渉してみるのもアリですが、難しいと感じたら弁護士などの専門家を頼ってくださいね。

   ポイント2点

●残業代などと異なり、ボーナスを支給しなければならないという法律はない

●ボーナスは、それまでの労働の対価、将来に対するインセンティブ、業績による利益の配分、という意味合いがあるといわれており、退職者予定者には「将来に対するインセンティブ」の部分については支給されない可能性はあるが、一切ボーナスを出さないというのは許されないと考えられる

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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弁護士法人アディーレ法律事務所 篠田恵里香


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