辞めるやつにボーナス出せん! 成績最高なのに、あんまりです

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弁護士回答=ある程度減額はあってもゼロということは......

   残業代などと異なり、ボーナスを支給しなければならないという法律はありません。

   よって、そもそもボーナスを支給するか、どのような条件で支給するかは雇用契約や就業規則などによって決まることになります。そして、雇用契約などで支給のための査定期間、内訳、計算式などの支給基準が定められている場合には、それらに従うことになります。「×か月」で支給などの条件が規定されている場合には、その条件に当てはまる限り、会社側はボーナスを支払う義務を負うことになります。

   すなわち、ボーナス支給基準については、会社側が自由に決めることができるものです。そこで、例えば「支給日に在籍しない労働者には、賞与を支給しない」という規定がある場合には、少なくとも賞与支給時に在籍している以上、会社としてはボーナスを支給しなければなりません。

   では、そのような規定がない場合、一切ボーナスを支給しないことは許されるのでしょうか。

   ボーナスは、それまでの労働の対価、将来に対するインセンティブ、業績による利益の配分、という意味合いがあるといわれています。この相談者の件では、労働の対価という点では、営業成績も良好であり会社の業績に貢献したのであるから、それ相応の対価としてのボーナスの支給を受けられることになるはずだといえます。また、本人以外の全員に支給されており査定期間の点も問題なく、退職予定という点を除けばあえて相談者だけを外す合理性もありません。

   もっとも、退職予定者には将来に対するインセンティブというものがないのだから、この部分については支給される理由がないことになりそうです。しかし、将来に対するインセンティブは、あくまでボーナスの意味合いの中の一つに過ぎないと考えられるので、当然それだけを理由にボーナスを一切支給しないというのは、会社の自由な判断の枠を超えたものとして違法、不当なものになると考えられます。

   つまり、今回のケースでは、一定程度減額される可能性はあるものの、一切ボーナスを出さないというのは許されないことになるでしょう。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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弁護士法人アディーレ法律事務所 篠田恵里香


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