日本人が知っておいてもいい企業シリーズ2回目は、「奨学金を肩代わりする企業」です
。2016年3月28日の当コラムで、入社した社員の奨学金を一部肩代わりする企業として、クロスキャットを取り上げました。同様の制度をとる企業を、2016年12月現在、クロスキャットを含め7社確認できましたので、一挙にご紹介します。
返済額、企業にとっては高くない?
まず、奨学金の肩代わりについて。細部は企業により異なりますが、基本線としては、一定期間働くと(または入社すると)、(日本学生支援機構などの)奨学金の一部を企業が肩代わりします。正確には、手当として支給し、それを受け取った社員が返済に充てる、という流れです。
なぜ、こうした制度を企業が採用するようになったのでしょうか。
社会貢献をその理由に掲げる企業もあります。トヨタなどトヨタグループ10社は、女子学生(新入学者)を対象に「トヨタ女性技術者育成基金」の奨学支援事業(リケジョ応援奨学金)を実施しています。これなどは社会貢献と言えるでしょう。大学・大学院学生への支援ですが、「製造業社入社時には元金の半額と返済利息相当額を卒業時に一括給付(ただし、一定の条件を満たした場合に限る)」「基金参加企業に入社した場合には元利金返済額と同額を毎月給付(同)」といった返済免除制度も設けられています。
が、他の企業の本音では、採用戦略の一環であり、若手社員の定着が狙いです。
数百万円にのぼる奨学金の返済、学生からすれば大きい金額ですが、採用側の中には「それほど高い額か」と考える企業が出てきます。ナビサイトに採用広告を出し、若手社員定着のためにあれやこれやと研修を実施し、そうまでしても辞める社員がいるわけです。辞められると中途採用にも費用がかかるし......というふうに考えていけば、実は1人当たり数百万円、という金額はそれほど高くない、とも思えてきます。
そこで企業によっては、肩代わりしよう、と考えるわけです。