毎日朝早く起きて出勤し、夜遅くまで働いて、帰宅したら寝るだけ。休日は寝だめしたり、場合によっては出勤したり、家で仕事をすることも......。長時間労働が改めて今、問われている。
こんな風に仕事に追われている人は、プライベートが充実していない、いわゆる「非リア充」と思われがち。だが中には、「仕事をしまくることこそがリア充」という感覚に陥っている「モーレツ社員」がいるとネット記事で指摘され、話題になっている。
「長時間労働は簡単に他人に見せつけられる」
経営コンサルタントの横山信弘氏が、Yahoo!ニュースに「なぜ残業は楽しいのか? モーレツ社員の『リア充』を考える」という一文を寄稿している(2016年11月23日)。
20年近く前、勤めていた職場で2人の上司に「君はなぜ残業をしないのか?」と言われた経験があるという横山氏。当時、自分のチームの仕事に遅延がなければ定時で帰ってもよいと考えていたうえ、同僚のほとんどは別チームでその手伝いをしようにもできず、上司に対して「とても嫌な感覚を覚え」たという。
その後「残業をしないと処理できない仕事量」を与えられ、横山氏も22時、23時に退社するのが当たり前の生活に。
「不思議なもので、終電を逃すと、さらにダラダラと朝の2時や3時までオフィスに残っている日常を平気で送ることができるようになるのです。毎日その時間に残っている同僚たちの顔ぶれはいつも一緒。仕事の成果ではなく、夜遅くまで残っていることそのものに充実感を感じるようで、オフィスに人がいなくなればなるほど、表情が生き生きとしてくる連中ばかりです」
へろへろになりながら恍惚の笑みを浮かべるこんな社員にとっては、残業や休日出勤が「リア充」の源泉なのだと指摘する。なぜなら、
「仕事によって手にした成果は目に見えませんが、長時間働いているという事実は、簡単に、確実に、他人に見せつけられます」
しかし、横山氏は改めて思い直す。大きなプロジェクトを期限内に成功させようという仲間との残業なら楽しいのもわかるが、「恒常化した長時間労働が『リア充』を人にもたらすはずがない」と。
長時間残業社員の「自分の生活を犠牲にして仕事してます」アピールはあまりに痛々しい。だから、小さな子供と遊んで楽しそうに笑ったり、「マラソン大会に参加していい汗かきました」のような「一般的な『リア充』」を体感すべきだ、と横山氏は訴える。