なんと鏡の私は「夜の雰囲気」 つぎ込んでなお「美人」は遠し

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   私はこの夏以来、脂肪吸引で理想のスタイルを手に入れ、顔痩せ注射をし、ボトックスで頬の余計な筋肉を萎縮させ、溶ける繊維をこめかみに埋め込んで小顔にするなど、「最先端の医療テクノロジーでキレイになる」ことにハマっている。毎月1回、肌の「光治療」も受けており、ぐっと色白になった。ところが、これだけ美しくなるのにお金をつぎ込んでも、手に入らないものがあると気づいてしまったのだ。

スタジオで浴びた衝撃の一言

「センス」はそう簡単に買えないもの
「センス」はそう簡単に買えないもの

   先日、朝の情報番組にゲスト出演したときのこと。私は脂肪吸引で細くなった脚を披露しようと、年甲斐もなくミニスカートに黒いストッキング、ハイヒールという出で立ちでスタジオへ入った。ミニスカートは、脂肪吸引が終わってから着ようと、ネットで購入したものである。ファッションセンスに自信がない私は、すでにコーディネートができているものを一式買った。ところがスタジオで私を見たアシスタントプロデューサーの女性いわく、

「北条さん、今日はなんとなく夜の雰囲気ですね」
 

   ハッ......! 言われてみれば、私の服装は確かにホステスさんのそれっぽい。

   上下ピンクの柄物で、パールのキラキラが首元にあしらわれた黒のカーディガン。薄手の黒ストッキング。髪も巻いたものだから、完全に「夜」の雰囲気が出てしまっている。全身鏡に映してみると、そこには場末のスナックでヘルプをしていそうな女がいた。

   もちろん、美容整形で脚は細くなり、肌も以前の自分よりずっとキレイになっている。でも、どこか垢抜けないし、全くオシャレな感じがしない。朝のテレビに夜の雰囲気を出してゲスト出演するという「TPOのわきまえなさ」は、たしかに「オシャレな人」のそれとは程遠い。

北条かや
北条かや(ほうじょう・かや)
1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。近著『インターネットで死ぬということ』ほか、『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』などがある。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
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