フレックスタイム制の導入や、一般的になりつつあるテレワーク・ノマドワークなど、働き方は年々多様化してきている。
そうした流れで、経済産業省が働き方改革の一環として、フリーランスで働くことを促進する研究会を立ち上げたのだが、これがイマイチ反応がよろしくないようだ。
競争力強化が期待できる?
経産省肝いりの「雇用関係によらない働き方」についての第1回研究会が開かれたのは2016年11月17日。
人口減少や技術革新により産業構造・就業構造が大きく変化すると予想される中、「雇用関係を前提とした働き方」だけでは、働き手も企業も競争力を低下させる恐れがあり、フリーランスなどの柔軟な働き方、すなわち「雇用関係によらない働き方」が働き手にとっての豊かな暮らしの実現、企業にとっての多様な人材の確保につながるとし、その現状を把握して解決策を探るのが目的という。
日本では現在、雇用されているが副業でフリーランスの仕事をしている人、雇用形態に関係なく2社以上の企業と契約している人など、雇用関係によらない働き方をしている人の総数は1064万人と推計されている。
現状では、収入の水準、安定性に不安を覚える人が多く、業務委託先から福利厚生を受けられないケースが大半で、依頼主よりも立場が弱いと感じる人が少なくないなどの問題点も挙げられた。
研究会の開催が報じられると、ネット上ではネガティブな声が多く上がった。ツイッターを見てみると、
「フリーランスを促進するんじゃなくて、フリーランスで働けるバックグラウンドを、ですね...」
「保険とか年金とか労災とか破綻時の保障とか、そういう負担から企業が逃げるための策としか思えない」
「フリーランスは収入が不安定な職業で子供を安心して育てられるような職業ではない。そんなものを促進させるのか。さらに少子化進むんじゃ」
といった書き込みが。現状でフリーランスを促進すると言われても、まだまだ不安点や問題点が山積み、ということの表れだろうか。
配布された資料には、「雇用関係によらない働き方」をどのように呼ぶか、そのネーミング案も示されており、「働き方に着目」したものとしては、「雇われない働き方」「オープンな能力活用社会」「スマートワークスタイル」などが、「働き手に着目」したものとしては、「独立就業者」「クラウドワーカー」「フリーエージェント」などが候補として挙げられていた。フリーランスやフリーターなどとは一味違う高級感を、という狙いか。
経産省は議論を重ね、年度内に報告書を取りまとめる方針だ。(MM)