仙台名物の「ずんだ餅」を製造・販売する黄金(こがね)食品・ずんだ餅本舗が、2016年12月をもって店をたたむ。ずんだ餅は、宮城県を中心にお盆や彼岸に食べられる、つぶした枝豆の餡を餅にまぶした和菓子。「ふるさとの味」として全国的に知られる。突然の解散をTwitterで公表した黄金食品だが、その身の引き方にインターネットでは称賛の声があがっている。
「倒産となってはかえって迷惑ですから」
「#いいにくいことをいう日」にあたる2016年11月29日、黄金食品・ずんだ餅本舗のTwitterアカウントが、そのハッシュタグに乗せて「廃業」を発表した。「乗るしかない!このビッグウェーブに!」などと冗談めかしてはいるが、黄金食品のTwitterによると、
「ここ2日ほどどう発表しようかな~って悩んでたところに舞い降りてきたハッシュタグでした。若干の不謹慎感は否めませんでしょうが、嘘でも冗談でもありません。突然のツイートに驚かれた事でしょうが、私にとっても突然の事態ではありました」
「とはいえ震災前にも一度検討したことがあった事なので、驚きはありませんでしたが。諸々の情勢が今、このタイミングでの閉店に収束していってるようなので今回の決定となりました。残念な気持ちは無論ありますが、このまま続けて倒産となったのではかえって迷惑ですからね」
と明かしている。
黄金食品は11月9、10日に仙台駅物産展や仙台国際センターの「おもてなし物産展」に出店したり、24日のTwitterには、「仙台は雪こそ降っていませんが、かなり寒いです」と、まるで閉店など想像できない言葉が綴られていたりした。「ずんだ餅本舗」ファンにとって、「閉店」の知らせは衝撃だったはずだ。
さらに、
「先週後半から各取引先にもあいさつ回りしていますが、みなさんにびっくりされているところです(苦笑)なかには『きれいにたためてうらやましい』というご意見も。やはりやめるにやめられない会社さんも多いようで、通常解散ができそうなだけでもありがたいことです」
「まぁきれいにたためるかはまだ見積り上での話なので、実際これからどれほど資産や資金が動くのかやってみないとわからないところもありますので」
と、すでに取引先へのあいさつ回りを済ませ、解散手続きを進めていることも明かした。
つきたて餅の販売は12月17日まで。生産は30日で終了する予定。冷凍在庫が切れない限り1月中も販売するという。