ある意味グローバルスタンダード
「特に、最近『管理者候補コース』を作ったら、さらに人が集まるようになりました。」
3万バーツの給料で9時~5時の残業なし勤務で無理なく働く人に加えて、マネージャーになってガンガン出世していく「管理者候補コース」もあるというのです。入社して1年経ったらスーパーバイザー。日本人やタイ人スタッフをマネージメントしていかなくてはなりません。
「かなりハードですが、昇給も早いです。タイだけではなく、フィリピンの副センター長をやっている人なんかもいます」
つまり、この会社では、そこそこの給料をもらって、残業なしで、仕事以外の時間を楽しむ人と、思いっきり働いて上を目指していく2つのタイプの働き方ができるのです。これって、アメリカや欧州の働き方と似ていますね。
一般社員は、残業なんて一切しない。言われた仕事をやり、応分の給料をもらう。5時きっかりに退社して、河原でビールかなんか飲みながら夕日を見たりして楽しんでいる。一方で、一部の社員は、日本の社畜なんて目じゃないくらい働きまくり、ガンガン上を目指していく。ある意味、グローバルスタンダードな働き方です。
「ちなみに、普通の働き方をしている人も、英語学校やタイ語学校に通うことなんかもできるので、まずスキルを身につけて、それからキャリアアップを目指す人もいますね」
こういうコールセンターの仕事の話になると「将来のキャリアアップは?」という話になりますが、そこは目指さないと割り切ってしまえば悪くない選択肢かもしれません。給料を上げたければ、キャリアアップコースに社内異動できるというのもポイントです。
ただ、ひとつ怖いのが、このコールセンターの業務自体がなくなってしまうことです。
「今のところ、業務は拡大しています。また、日本語が話せるタイ人や中国人もたくさんいますが、日本人のお客様向けのコールセンターはネイティブにしかできません。日本人のお客様が非ネイティブの日本語に慣れていないからです」
ということで、すぐに仕事がなくなることはなさそうです。
もちろん、リスクもあります。一番大きいのは、コールセンター業務だけをやっていた人が、タイでも日本でも転職先があるのかどうかが問題。まあ、それは日本でバイトや単純作業をしている人にも言えることです。もっというと、大企業で管理職をやっているような人も、です。
そこを割り切り「安い給料でのんびり暮らす」「現地で学んでキャリアアップを目指す」「同社でバリバリ働いて給料アップを目指す」といった選択肢を自己責任で選べる人であれば、なかなか幸せな生活がおくれるのではないでしょうか。
「ちなみに、24.5万円の東京勤務を打診しても拒否する人がたくさんいます。給料が安くても、バンコクで生活したい人は結構いるんです」
働き方の選択肢が多いというのはよいことです。(森山たつを)