「1日インターン」解禁により とばっちりを食うのはだれか

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どうせ1年で解禁になるのなら

   こうした認識は、企業の大小、知名度の有無とは無関係に、採用担当者ならだれもが持っていました。「インターンというからには5日以上」と喧伝する文部科学省や経団連を、それはそれは冷ややかな目で見ていました。

   一方、経団連加盟の、それも知名度の高い企業には、この「5日以上」を口実にインターンを実施しないところが多数ありました。ホンネは、

「1日インターンならできなくはない。でも、それをやると学生が殺到して大変だ。だったらやめておこう」

という次第。

   ただ、同じ経団連加盟でも知名度がやや低い企業には、ジレンマがありました。1日インターンをやるほうが採用戦略上、有利になります。それだけ学生の認知度が上がり、志望学生が増えるからです。しかし、経団連の「5日以上」を順守すれば、1日インターンに踏み切るわけにはいきません。

   それが2019年卒から1日インターン解禁となると、事情は変わります。

   一応、「就業体験ができる」「選考とは結び付けない」という条件付きです。後者はまだしも、前者は、厳密に解釈すればどう考えても無理。まあ、それでも、「営業を体験する」「ビジネスマナーを実践する」などと謳えば、企業側は「就業体験をさせた」と言い張れます。

   かくて、現2年生から1日インターンが急増......とはなりません。どうせ1年で解禁となるのであれば、今年から実施したほうが企業側はノウハウを蓄積できます。

   今年は「インターンではない、セミナーだ」と逃げ、同じイベントを来年は「インターンだ、就業体験もできる」と言い張る企業が増えそうです。

   そうなると、たまらないのが現在、すでに1日インターンを実施している経団連非加盟の企業です。これまでは実施する企業が少ないことから、学生集めという点で優位性を保つことができました。

   それが今後、1日インターンを導入する企業が増えれば、それだけ優位性を失います。実際、今年は導入企業が増えたために、各日程での参加者が減っている企業が続出しています。

   減った分の参加者を取り戻そうと、1日インターンの開催を慌てて増やす企業、本来は休みの予定だった土日をあてる企業などが相次いでいます。

   その結果、採用担当者は休みたくても休めない、という事態になりつつある今日この頃です。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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