ジョブズを手本にスピーチ上達 「なりきり」テクは仕事に有効

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気持ちでなりきってみましょうよ

「ジョブズを真似しろと言われても、それは到底無理ですよ」
「もちろん分かっています。真似なんかできませんけど、とりあえず見てみましょう」

   タブレットに映し出された映像を見て、ジョブズの身振りのどこが自信にあふれて見えるのか、自分の映像と比べて違うのはどこか、Yさんに具体的に述べてもらいました。すると、

「声に強弱があり、力強い。時にスピードも変わり、話す間もとっている。ポイントで効果的な身振り、手振りが入る。そして、聴衆をしっかりと見ている......」

   私はすかさず、

「真似するのではなく、その違いを踏まえて気持ちでジョブズになりきってみましょうよ」

と語調を強めました。

   Yさんはしばらく考えてから、リハーサルを再開しました。最初のうちこそ、ぎこちない感じが拭えませんでしたが、繰り返し練習するうちに、声も末尾までしっかり出てメリハリもつき、目線は前をちゃんと向き、身振り手振りもしだいに板についてきました。

   その何度目かを私が録画し、本人に見せると、

「めざすスタイルを実現している人をイメージして行動してみるだけで、だいぶ自信をもって話せているように感じます。多くの人の前で話をすることが楽しみになってきました」

とかなり自信をつけてくれたようでした。

   営業も同じ。セールストークに自信がない営業マンは、「できる営業マン」をイメージしてその人なりきってみれば、きっと相手の反応は違ってくるでしょう。社長という仕事も、自分の「デキる社長」像をイメージして、その人になりきって自信をもって行動し、社員に語りかければ、伝わり方は確実に違ってくるのです。

   Yさんは、12月の商工会総会を機に人前で話すことへの自信を確かなものにし、それ以降は社長としても自信に溢れた話しっぷりで皆を引っ張れるようになるだろうと思います。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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