ジョブズを手本にスピーチ上達 「なりきり」テクは仕事に有効

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ぎこちなく、視線も泳ぎがち

   1週間後、Yさんの社長室で2人きりのリハーサルを始めました。用意された原稿を見ながら10分ほど話していただき、その様子をスマホで動画収録しました。一聴して、話の内容については、ロジックもしっかりしているし流れもあり、理解しやすいと感じられました。

   一方、パフォーマンスとしては、物足りないものでした。多少の身振り、手振りはあるのですが、ぎこちなく、視線も泳ぎがち。言葉は語尾が聞き取りにくく、聞き手の耳に届く前に墜落してしまっているような印象を受けました。総じて「デキる経営者」の落ち着きや自信が伝わってくるようには思えませんでした。ビデオで確認したご本人も、そうした点を強く感じ、余計に自信を失ってしまったようでした。

   そこで私はひとつ質問をしました。「自信に満ち溢れたデキる経営者、あるいは『デキるリーダー』といえば誰を思い浮かべますか」。Yさんは迷うことなく、「スティーブ・ジョブズ!」と答えました。

   ジョブズといえば、米アップル社の創業者の一人。この若くして他界したカリスマは、「プレゼンテーションの神様」ともいわれ、抜群の説得力で人を引き込むそのスピーチは、もはや伝説と言ってもいいでしょう。

   Yさんから見た「自信に満ち溢れたデキる経営者」像がジョブズであるとハッキリしているなら、話は早い。私は、動画サイトにあるジョブズのプレゼンテーションを何本か一緒に見てみましょう、と社長に提案しました。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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