「自分は最低」とは思いすぎ 「心貧しき」は幸いであるから(江上剛)

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「つい自分と同僚を比較して憂鬱になります。あいつは頭がいい、こいつは我慢強い......それに比べて自分は最低のように思えます」

あなたは自信過剰の人ではないか

誰でも他人との比較で自分の能力を測るもの
誰でも他人との比較で自分の能力を測るもの

「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ   花を買ひ来て   妻としたしむ」

   石川啄木の歌です。有名な歌なのであなたも耳にされたことがあるでしょう。

   あなただけじゃないですよ。だれでも他人と自分を比較して、いろいろ憂鬱な思いをしているんだ。

   それでも「まっ、いいか」と思って花を買って妻とおしゃべりを楽しむささやかな幸せに感謝して暮らしている。それが人生じゃないかな。

   あなたが同僚と自分を比較するのは当然だよ。比較した上で、自分を最低のように思うのは、思いすぎ。

   逆にあなたは自信過剰の人なんじゃないかと思える。過剰な自信がいびつな形で表にでているんじゃないかな。他人と比較して自分のことを「最低だ」と言うことで「いや、君はそうじゃない。君のほうが優れているよ」などと声をかけてもらいたいと思っているんじゃないのかい?   その言葉で満足を得たいと思ってはいないか?

   でもこれは意味がない。そんな言葉をかけてもらわなくてもあなたと同僚とは、実績などで差が歴然と見えているはずだから。

   他人と比較するなとは言わない。するのは仕方がない。しかしそれにとらわれすぎるのは自分を苦しめるだけだ。

   あなたは、あなた。あなたにしかなれない。自信過剰なのも、自信がないのも、頭が悪いのも、我慢強くないのも、みんなひっくるめてあなたの個性なんじゃないの。

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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