「私こそ人脈豊富」とは勘違い 発想育むのは「弱いつながり」

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   長年いろいろな会社とお付き合いさせていただいていると、そこの社員の方とお目にかかって2、3度打ち合わせをしただけで、その反応や対応から同社の企業風土、企業文化がおおよそつかめてくるようになるものです。

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異業種交流に消極的な企業風土

   メールでのやりとりだけでも、企業風土の一端が感じ取れ、なるほどと思うことがあります。例えば、初めてお目にかかって保守的だなと私が感じた企業は、その後経営者や幹部社員を異業種交流会にお誘いしても、皆さん判で押したように、初回は「スケジュールが合いません」。2回目は「今回も都合がつきません」、3回目あたりからナシのつぶてになります。共通の話題に乏しい人間とのつながりはできれば持ちたくない、煩わしい、ほうっておいてくれ、というのが保守的企業の風土に特徴的な考え方なのかもしれません。

   見知らぬ外部との接点を持ちたがらないのが社員ならまだいいのですが、これが経営者となると問題は少し厄介です。以前とりあげた内弁慶社長がこれにあたるのですが、一番厄介なのが、同業や取引先との関係が密でその接点が豊富なことをもって、「自分は社交的で人脈がある」と思い込んでいる経営者です。

「なんで、自社と関係のない業種の人間と交わらなければいかんのよ。時間がもったいない。僕にはそういう集まりへの声を掛けないでいい。必要な人脈は十分あるから」

   私が異業種交流にお誘いしたH社長は、私の誘いをそう言って断りました。

   実はこのお誘いは、H社長が常々「うちの社員は発想に乏しい。ありきたりの意見しか出ない」とぼやいていたことが伏線にありました。私はその時に、「外の空気を吸っていないと、人間保守的になってしまい斬新な発想は生まれてこないですよ」と申し上げていたのです。

   ところが、私の具申に対する社長の反応が、予想とは全く違っていたのです。

「そうだよ、そのとおり! うちの会社で外の人脈を一番持っているのは僕だよ。社長だから当たり前かもしれないけど、社員の連中はうちの取引先と事務的なやりとりしかしてないのだからね。もっと彼らとの関係を密にして、外の空気をしっかり吸えと言いたい」

   それを聞いて、あれあれ社長さん、なんか勘違いしているぞ、と私は思ったのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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