「Movember(モベンバー)」というチャリティ活動が世界に広まりつつある。乳がんの啓発キャンペーン「ピンクリボン運動」の男性版で、前立腺がんや精巣(睾丸)がんなど男性特有のがんと男性のメンタルヘルスの啓発・支援活動を行うもの。この聞き慣れない言葉はオーストラリア英語の「mo(口ひげ)」と「November(11月)」を組み合わせた造語で、参加者は11月の1か月間ひげを伸ばして趣意への賛同をアピールする。
ひげ伸ばす→ひげ整える→タマ検査
これまでにも航空会社が機体に口ひげを描いたり、テレビ局の番組キャスターがひげを伸ばしっぱなしにするなど世界各地でいろいろな活動が展開されたが、2016年11月の話題は、ニューヨークの理髪店「Barba」が仕掛けたユニークな健康診断キャンペーン。「Pay with your ball(お代はタマで)」とは強烈なタイトルだが、精巣がんの検査を受ければ無料で口ひげを整えてくれるというものだ。
このキャンペーンは3つのステップで実施される。
ステップ1:11月の1か月間、口ひげを伸ばす
ステップ2:Barbaで伸ばしたひげを整えてもらう
ステップ3:代金を支払う代わりに精巣がんの検査を受ける
検査の実施期間は、Movember明けの12月1~3日の3日間で、先着50人。Barbaの店内に特別ブースを設置、そこに専門家が詰め、ひげの手入れのために来店した客に精巣がんの検査を勧める。検査費用は店もちの大盤振る舞いだ。
Barbaのサイトによると、精巣がんは比較的若い15~34歳の年齢層に多く、アメリカでは1時間に1人が精巣がんと診断されるという。ただし、専門的なページをみるかぎり、アメリカやヨーロッパに多く、アジアやアフリカにはそれほど多くないようだ。
Movemberはオーストラリアで始まり、今では世界20か国以上で展開されている。日本にもこのキャンペーンが上陸し、11月に口ひげを伸ばす男性が急増したら、改めて話題になりそうだ。(岡徳之)