銀行株など10銘柄に「小分け」
この急落を機に、同僚は分散投資を決意。2006年春から2007年夏にかけて、1000株のイビデン株をすべて売却し、およそ600万円を手にした。それを元手に、三菱東京UFJフィナンシャル・グループ(FG)や三井住友FG、みずほFG、トヨタ自動車、アサヒビール、ヤクルト、NEC、吉野家ホールディングス(HG)、日本マクドナルドHG、ジュピターテレコムに振り分けた。
銘柄を選ぶにあたり、時流にそった業種であること、業界最大手であることの2点を念頭に、銀行株やトヨタ自動車、アサヒビールなどを薦めたが、それを参考にしたようだ。
現状、ルネサスエレクトロニクスにみられるように、半導体メーカーは苦境にあえいでいる。それに関連する企業の業績がいいはずがない。2016年11月2日付の日本経済新聞は、イビデンの2017年3月期連結最終損益が635億円の赤字見通しであると伝えていて、株価は現在、上昇前の水準(1300~1500円前後)に戻ってしまっている。
改めてこれまでのイビデン株の推移をみると、株価が躍動したのは2005年8月~08年8月の3年という短期間だったことがわかる。上場来高値は2007年の1万570円。
行きがかりもあって、その後もイビデン株には目を配ってはいたが、いま買いたいとは思わない。スマートフォンやタブレット端末に代わる新商品が出れば、買う気も起きるかもしれないが、当面は飽和状態の市場がネックだ。
同僚は「相続後、あのまま配当だけを受け取っていたら、当時(2005年)400万円だったイビデン株が現在146万円になっていたのですから、運がよかった」という。
株式は売るのも買うのも、タイミングがすべて。つくづく、そう思う。(石井治彦)
イビデン
年初来高値2016/01/04 1738円
年初来安値2016/07/06 1064円
直近終値 2016/11/16 1465円