同僚に分散投資勧め結果「吉」 株はタイミングがすべてと知る

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下がるのがいつかわからず

   そもそもいくらで購入したのかは不明だが、売却すれば400万円にもなる。同僚に損をさせてはならないと、イビデン株を調べた。

   結論として、保有するJR東日本株はそのまま残し、イビデン株1000株は一部を残して売却し、業績のよい優良株に振り分けることを提案した。イビデン株は、過去1000円~2000円で推移しており、イビデン1社で1000株保有しているより、他の業績改善の見込める優良銘柄に分散しておいたほうが安全ではないかと考えた。長らく上昇傾向が続いていたため、下がるタイミングがいつくるか、わからないように思えたからだ。

   ちょうど2005年8月ごろ、半導体メーカーは年末需要回復を見込み、 夏休みも連日操業。下期稼働率9割以上の繁忙期を迎えていた。この需要拡大を反映し、イビデン株は上昇。12月には公募増資(価格6375円)を実施し、年末には6500円を付けることとなる。売却のタイミングを見計らっていたのだが、当の同僚はしめしめと思いながら上昇する株価を眺めていたそうだ。

   イビデン株はさらに上昇した。2006年2月3日、06年3月期連結経常利益が前期比89%増の410億円になる見通しと発表。当日の終値は6640円だった。ところが、翌営業日の2月6日には610円安の5980円と大幅安で引けている。その後1週間で1370円も急落。2月13日の終値は5220円で、同僚のイビデン株は1週間で137万円も減った。

   2006年2月15日付の日本経済新聞夕刊は「注目株を斬る」でイビデンを取り上げ、この時の状況を「株価は昨年(05年)ほぼ一本調子で急騰。2007年3月まで織り込む水準になったことで、利益確保の機会をうかがっていた投資家が多かったようだ」と伝えていた。

石井治彦(いしい・はるひこ)
   1970(昭和45)年に大学卒業後、自動車大手に勤務。リース販売を手がける。投資歴は実質25年。入社後にユーザーと接するなかで得た情報と自分の知識で、最初のボーナスをもとに株式運用を開始。しかし、78~98年の20年間は投資する余裕がなく、休止に。それが幸いしてバブル崩壊の痛手は軽傷だった。ただ、いつでも動けるよう、日本経済新聞をはじめ経済誌などには目を通していた。
   「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。2011年の退職後は少しの小遣い稼ぎと、興味をもって経済誌を読むために株式を保有している。現在、14の銘柄で、1万3800株を運用。東京都出身、69歳。
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