週刊東洋経済(2016年11月5日号)が「50歳から増やすおカネ」を特集していた。そこで思い出したことがある。
もう10年前のことだが、会社の同僚(当時44歳)から、「相続で株券を手にしたが、どうしていいのかわからない」と相談を受けたのだ。50歳前後の年齢は、ちょうど親の介護やら相続やらの話が持ち上がる、そんな年代ではなかろうか。
イビデン株を相続、400万円!
同僚が株券を相続したのは2000年9月。電子関連製品のイビデン1000株とJR東日本100株の2種類だった。相続してから4年半近く、配当金と、JR東日本の株主優待割引券を受け取るだけで、ほぼ放ったらかし。株式にまったく関心がなかったからだが、そこに株券の電子化が持ち上がり対応を迫られた。
自身の証券口座はない。まさに一からのスタートで、会社近くの証券会社の担当者を紹介。数週間後の2005年3月に口座を開設した。
9月になり、相続したイビデンとJR東日本の株券を証券会社に持参。担当者から、イビデン株が100株40万円と聞いて驚いた。1000株なので400万円にもなる。その担当者に、「お母様、様々ですね」と言われたそうだ。
同僚によると、イビデン株は母親が証券会社の営業に勧められて買ったとのこと。イビデンはICパッケージやプリント基板などを、米インテルをはじめとする半導体メーカーに供給する企業。当時は、インテルが中国やインドなど新興市場への対応を強化していたことや、大手携帯電話メーカー向けのプリント配線基盤を増産したことで、株価は上り調子だった。
株式市場を取り巻く環境もよかった。小泉純一郎首相による郵政民営化選挙で自民党が圧勝したことで2005年9月12日、日経平均株価が前営業日から204円29銭高の1万2896円43銭を付けるなど、景気回復への期待が高まっていた。9月20日には4年3か月ぶりに1万3000円台を付けていた。