就活ベンチャーの「徹夜」が心配 あの企業の二の舞にならないか

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一発当てると仕事が増え

   実は、ワタミと同じことが就活・採用周りで繰り返されているのです。

   採用支援のベンチャー企業やNGOは、30代どころか20代で起業する例がたくさんあります。もちろん、就活を変えたい、採用を変えたい、学生のためになることをしたい、という理念を掲げての創業です。その理念には私も一部、共感するところがあります。

   創業者が一生懸命働くのはいいでしょう。そうでないと、企業として成立しません。採用支援のベンチャーやNGOは、ちょっとしたアイデアがあれば、それなりに当たる世界でもあります。

   問題は一発当てた後です。仕事が増えるので人を雇います。正社員採用はもちろんのこと、学生のアルバイトや、インターンシップという名目による無償奉仕も、結構多くあります。そして、正社員だけでなく、学生のアルバイトやインターンシップ生にも、理念と情熱を共有させます。

   学生も、小規模だから、理念・情熱はわかったうえで入ってきます。創業者と同じように残業や徹夜を厭いません。ある採用ベンチャーでは、アルバイトもインターンシップ生も忙しすぎて、寝袋を持ち込んで事務所の床に寝る日々だそうです。付言すれば男女問いません。

   本人たちが好きでやっているのだからいいだろう、と突き放すこともできます。が、これはワタミとどう違うのでしょうか。

   まだ規模が小さいからどうにか回っているだけであって、どこかのタイミングで、ワタミと同じような事件となり、批判されることにならないとはかぎりません。

   これまでにも採用ベンチャー・NGOを取材し、この話をしたことがあります。心なしか、ワタミ批判が強烈なところほど、

「うちとワタミごときを同列視するなんて無礼だ」

と怒り出しました。怒りはしなくても、軽く流す企業・関係者は多数。

   私としては洪水が来る前のノアのような気分です。せめて溺れないようにと祈りたいところです。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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