部下の長所はなかなか見えない それを見つけるのが上司の仕事(江上剛)

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

まず自分に自信を持て

   人事部にいたとき、はたと悟ったことがある。それは「人を使うためには長所を見つけなければならない。ほめるところを見つけなければならない」ということ。

   というのは、人事部には現場の支店長から「部下のAは使い物にならないから交代させてくれ」などという理不尽な要求が次々と寄せられる。そんな要望にいちいち応えられるはずがない。部下に対して無能と烙印を押すのは簡単だが、必ずどこか別の部署で使わなくてはならないのだから。それ以来、部下の長所を見つけることが上司の役割だと思うようになった。

   もう一度山本五十六の言葉を読んでほしい。彼は、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ」と言っている。まずは自分が実践してみてから「ほめてやらねば」ならないのだ。あなたはほめることはできると言っているが、実は、本当の意味でほめることができていないのではないだろうか。自分が見本を見せなさいよ。

   そして山本五十六は、部下の話に耳を傾け、任せてやりなさいとも言っている。任せるって、よほど自信がないとできないよね。あなたは、まず自分に自信を持ちなさい。仕事に対する姿勢が中途半端だから、ほめることもできないし、叱ることもできないんじゃないかな。だから部下になめられているような気になるんだろうね。(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
姉妹サイト